ふと、思う。

人は、なんでこの世に生まれてきたんだろう?

あるいは多分、生まれてくることに意味なんてないのかもしれない。

生まれたことに意味を付けるのは、自分自身だって言う人もいるだろう。

けどたまに、それでも考えてしまう時がある。

自分はどうやって生まれたのかなって。


きっと神様が僕に尋ねたんだろう。僕が生まれる、ほんのちょっと前に。

「心と命、どちらか一つはずっと続くようにしてあげるからさ。どっちがいい?」

そして僕は心を選んだんだろう。決して無駄にしないよう、命の大切さを知るために。

『大切』ってなんだか分かるように。

続けて神様は僕に言う。

「腕も脚も口も耳も眼も心臓もおっぱいも鼻の穴も二つずつつけてあげるからね。いいでしょう?」

だけど僕はお願いしたんだよ。「口は一つだけでいいです」と。

僕が一人でケンカしないように、一人とだけキスができるように。

少し不機嫌な顔の神様は、また仕方なく話しはじめた。

「一番大事な心臓はさ、両胸につけてあげるからね。いいでしょう?」

またまた僕はお願いしたんだ。

「恐れ入りますがこの僕には右側の心臓はいりません。わがままばかり言ってすいません。」

僕に大切な人ができて、その子抱きしめる時はじめて、二つの鼓動がちゃんと胸の両側で鳴るのがわかるように。

左は僕ので右は彼女の、左は彼女ので右は僕の。

一人じゃどこか欠けてるように、一人でなど生きてかないように。

「最後にもう一つだけ。『声 』もオプションでつけようか?なくても全然支障はないけど、どうする?」

そして僕はお願いしたんだよ。

大事なことを伝えられる人になれるように、なれますようにと。

心で感じた”想い”をちゃんと声に出して、大切な人にしっかりと伝えられるように。

「そう言えば、生まれる時はこれまでの記憶はなくなるけど、私は君のことを忘れはしないよ。それじゃあ、いってらっしゃい。」


そうして僕は産声あげて、この世に生まれてたんだろう。

あの時あげた僕の産声は、はたして喜んでいたのか、悲しんでいたのか。

それを決めるのが、人生なのかも。

どんな別れがあったとしても、出会ったことには必ず意味があるのだから。

ポッチとな

ー出会いと別れの分だけ、強くなるー